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『エコロジストのための経済学』を読む

エコロジストのための経済学
小島 寛之著
東洋経済新報社 (2006.2)
通常2-3日以内に発送します。

「esaka takeru's memo」による紹介記事を見て何となく衝動買い。 著者の小島寛之さんについては「Tech総研」の

という記事もあって併せて読むとより面白いかも。

あとがきによると

「ここ五年で一〇冊近く本を書いたが、最も書きたかったのがこの本」

なのだそうである。 環境破壊は「犯人探し」や「鬼ごっこ」(つまり特定の「誰か」に責任を被せること)が難しい問題だ。 無理矢理やろうとすれば TV の報道風バラエティ番組のようにちょっとずれた結論になってしまう。 そうではなく, 誰も悪くなくても環境破壊は起こるし, それを押しとどめることがいかに難しいかということを経済学という切り口で見せるこの本の手法は素晴らしい。

あと個人的にこの本が面白いと思う点がもうひとつあって, それは「経済学って(社会)科学なの?」という素朴な疑問への回答めいたものになっていることだ。 はっきりいって素人から見た経済学は魔術か錬金術にしか思えない。 ミクロ経済とマクロ経済との違いなんてマハリク教会派と組合教会派との違いとさして変わらんじゃろ, みたいな。 最近「はてブ」を賑わせていた山形浩生さんと池田信夫さんのツッコミ同士のコンビ漫才みたいなやり取りも, なんだか「バカには見えない服」を着せようとする悪徳仕立て屋の口上のように見えなくもない。 この本の7章では経済学が何でそう見えてしまうのか, ある意味痛いところを突いた話になっている。

最後の8章は著者の小島寛之さんによる「環境を経済学でコントロールする」ための試論が展開されているが, これもなかなか面白い。 「限定合理性」や「シグナリングとしての消費行動・投資行動」の話など。 素人ゆえにその「試論」の妥当性については正直に言ってよく分からないが, 今後も追いかけていってみたい話題である。 続編が出ないかな。

この本のテーマは地球上のリアルな環境問題についてだが, これを経済学という切り口で見たとき, なんだかネットの環境問題に通じるものがあるように感じた。 例えば, かつては公有地だと思われていたネット空間が急速に私有化されていく状況を経済学という切り口で見たらどう見えるんだろう, とか。 まっ思いつきで書いてるだけなのでてんで的外れかもしれないけど。