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Winny を「違法」にできるか

文字数のわりに盛り沢山な内容。 以下に抜き書きしてみる。

  • 「「Winnyは著作権侵害よりもむしろ、名誉毀損やプライバシー侵害にあたるような映像の拡散が止められないといった観点からの懸念がある」」
    • 「たとえ多くの人が流通するのは問題であると考えているファイルでも、それを止めることが出来ない点が問題」
  • 「キャッシュの中身を知ることは送信可能化権の侵害を自覚することにつながるため、ユーザーの側でもキャッシュの中身を知ろうとはしない」
  • 「現在では他の技術も存在することから「既に必要な技術ではない」と主張」
  • squirtの仕組みでは、著作権者などからファイルの削除要求が来た場合には、それに応じなければ著作権侵害の意図があると見なされてしまうためで、「結局、著作権侵害を続けたいと考えている人が多いということではないか」
  • 「「日本では送信可能化権の整備や刑事処罰などを進めたことで、逆にWinnyのようなソフトが必要とされる結果となってしまい、同時に流出したプライバシー情報の流通も止められなくなってしまった」」
  • 「「作者が幇助罪で処罰されるのはおかしい」という意見とWinny自体の問題は独立して考えるべきだ」
    • 「「会社から情報を持ち出す行為が悪い」「ウイルスを作成して流す行為が悪い」という主張があるが、それを理由にして「Winnyは悪くない」というのはおかしい」
  • 「「ウイルス対策ソフトで防げるはずだ」「リテラシーの向上で防げるはずだ」といった意見に対しては、「未知の脆弱性を悪用するようなゼロデイ攻撃であれば、自分にも防ぎようがない」」
  • 「Winnyのプロトコルは既に解析されており、ウイルス自身がWinnyプロトコルでファイルを放流するという可能性」
  • 「ウイルス頒布の処罰化が現在検討されているのと同様に、Winnyネットワーク等の稼動(Winnyの使用)の違法化についても検討すべき」
    • 「「Winnyネットワーク等」の定義をどうするのかの線引きは難しい」

Winny (面倒なのでその他の Winny コンセプト・ツールも含める)によって構築されるネットワークが大きな社会的リスクを抱えていることは間違いない。 そこに異論がある人はあまりいないと思う。 Winny には「消費主体」であるユーザが素朴に欲望するものを塞き止める障壁がない。 最初に挙げた記事はまるで Winny ユーザが意図的に著作権を侵害する行為を繰り返しているかのような記述だが、 おそらくそうではないだろう。 今の時代にそんな根性の入ったアナーキストが何万何十万もいるとは思えない。 彼らは(消費に耽溺するために)ただ無視しているのだ。 彼らが従っているのは「4つのコード」のうち Winny というコードのみで、 他の「法」や「規範」や「市場」なんてものは華麗にスルーしている。 そんな怖いことが実現できてしまう(実現されてしまった)のが Winny というソフトウェアだ。 そういうユーザに善悪の別やリテラシーを説くのは意味がないばかりか、 彼らの「正しさ」を補強することにもなりかねない。

そういう意味で(とりあえず Winny 自身ではなく) Winny の利用を違法とみなすというアイデアは面白いとは思う。 Winny を利用することに対し何らかのペナルティを科すことで彼らのインセンティブを変えられるかも知れない(アングラ化するだけかも知れないが)。 まぁ現実問題として合法と違法の間の線引きはかなり難しい(ってか殆ど無理な)んじゃないかという気もするけど、 何か凄いアイデアがあるのかもしれない。

しかし、 それはそれとして、 現状をどうするかだよなぁ。 前にも紹介けど Winny はもはや「開いてしまったパンドラの箱」であって、 今更なかったことにはできない。 「ウイルス自身がWinnyプロトコルでファイルを放流するという可能性」自体も怖いけど、 それが犯罪に使われる可能性もある。 例えば放流するファイルを暗号化し「復号鍵を公開されたくなければ金をくれ」と脅されるパターンなんていかにもありそうだ。 (そしてそういう犯罪が増えれば、それを騙った詐欺も頻発する)

そうそう, 「たとえ多くの人が流通するのは問題であると考えているファイルでも、それを止めることが出来ない」っていうのは多分言い過ぎ。 本当に「多くの人」が問題ありと判断してアップロードしなければそれは拡散されないだろう (このたとえ話だけ読んで反応しないように。 私は Winny に違法コンテンツの流通を抑止するコミュニティがあると言っているわけでも, あるいは啓蒙やキャンペーンでどうにかなると言っているわけでもない)。 「Winnyへの情報漏洩も早期であれば対処可能、ネットエージェント杉浦氏講演」によれば, 漏洩した情報の半分くらいは2週間以内に消えるらしい。 ダウンロードしたファイルをアップロードフォルダに入れずキャッシュも手動でマメに消している, といったユーザの実像が紹介されている。