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『Twitter 社会論』を読む

最初に, 本の内容には全く関係のない話だけど, これだけは言いたい。 いい加減縦書きは止めようぜ。 横文字交じりの文章で縦書きは読みにくいっちうねん。 「日本語は横書きより縦書きのほうが読みやすい」ってのは, 今まで縦書きに慣れてる人がそう感じるだけの, 単なる気のせいだ。 なんでもかんでもカタカナにするのもやめて欲しい。 だいたい「Twitter」を「ツイッター」てカタカナ書きにしたら, その時点でその言葉の中にある意味が失われるだろう。 「Tweet/ツイート」も同様。 Twitter だから Tweet なんであって, 「ツイッターでツイート」なんてわけわからんだろ。 最近『数学ガール』を読んだから余計にそう思うのかもしれないが。 ホンマになんとかしてよ。

ってところで本題へ。

この本は前書きで著者が

「現実社会がツイッターという新しいサービスによってどのような変化に晒されているのか、 ツイッターユーザーという立場で「現場」から書かれたルポルタージュのようなもの」

と書かれているとおり, 「社会論」という感じの本ではない。 でも今の状況を説明するにはちょうどいい本かもしれないので, 「ついったーって何?」って訊かれたら「この本を読め」とか返すといいかもしれない。

しかし, 本当はこの本を買うつもりはなかったのだ。 だってこの時期に「Twitter」と名のつく本なんて, 宗教勧誘かその辺の自己啓発セミナーと同じくらい胡散臭いに決まっている。 Weblog が流行ってるときにブログの本を出したり, Wiki が流行ってるときに Wiki の本を出したり, Second Life が流行ってるときに Second Life の本を出すのと同じくらい胡散臭い。 賢明な人間はそういうものには近づかないものである。 でも, 著者の津田大介さんの

「Twitterが誤報に踊らされるなんて当たり前だよ。そういう仕組みなんだから。だからこそ既存メディアは従来の情報囲い込みビジネスだけじゃなくて、オープンな情報に信頼性を担保するビジネスモデル並立させようよってのが「Twitter社会論」の本論だったりします(何という自然な宣伝!)」
Twitter / 津田大介

という宣伝文句につい釣られちゃったのよ。 恐るべし Twitter。 あぁ, でもでも, 一応本屋さんで立ち読みして内容を確認してから買いましたよ。 だって「新書」では何度も「つかまされてる」からねぇ。 「なか見!検索」でもさせてくれるのなら別だけど, 基本的に Amazon で新書は買わないことに決めている。

まぁ, 確かに Twitter の「状況」を知るにはいい本だと思うけど, 「社会論」的な視点からはどうかなぁという感じ。 ってな風に私が感じるのは, 私がもうあまり Twitter を利用しなくなったからかもしれない。

Twilog の今までの私のログを見ても, いちばんハマってたのは Twitter を始めたばかりの 2007年頃で, その後は徐々に減って,今年の9月は1ヶ月で17回しかつぶやいてないんだぜ。 follow 数も随分前に大幅に削減して, 今は95アカウント(もちろん bot も含んで)ほど。 だって速すぎて疲れちゃうんだもの。

確かに Twitter はリアルタイムウェブと言えるけど, それだけに常に傍らに Twitter がいないと, たまに眺めるだけでは面白くも何ともないんだよね。 私は仕事中は Twitter 見ないし(そもそも Twitter をブロックしている職場は多い), うちに帰っても(疲れちゃうから)あまり見ることはないし。 最初に紹介した津田大介さんの Tweet だって, Twitter じゃなくて Tumblr で補足したものだしね。 だから 『Twitter 社会論』 で書かれているある種楽観的なビジョンは, 私にとっては何となく他人事な感じがするのだ。 (否定しているわけではないよ)

結局 Twitter だって道具のひとつに過ぎないのだ。 のこぎりで釘は打てない。 その道具が適切かどうかは, 人と状況によるんだよね。 だから「道具」を前面に出しすぎる「社会論」はどこか空虚に見えるのかもしれない。 Twitter は確かにインターネットのギアを一段上げてしまったのだろうけど, それはあくまでもきっかけに過ぎないし, 誰もが皆ハイギアで高速道路を疾走しているわけでもない。

あと 『Twitter 社会論』 に出てくる話はわりと 『ウィキノミクス』 に符合するんだよね。 だから読んでいて「どっかで聞いたような話だなぁ」と微妙に既視感がある。 ちなみに 『ウィキノミクス』 の原書は2006年に出版されていて Twitter が注目されるよりも前だ。 つまり今起こっていることは「ツイッター・インパクト」を起点にしているのではなく, もともとそういう下地ができつつあった状況を Twitter が加速させている, と考えることもできるんだよね。 まぁ日本はちょっと事情が違うかもしれないけど。 (著作権の細かいところにグダグダ煩いところとか, ホント日本的だよね)

とまぁ色々書いたけど, お手軽に読めるし(私は TV を見ながら4時間ほどで読めた), 読み物として面白いことは確かなので読んで損はないと思う。