『再起動(リブート)せよと雑誌はいう』 ― ところで雑誌ってどこで売ってるの?

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『再起動せよと雑誌はいう』は雑誌の「冬の時代」にどうやって生き残るかを問う本のようだが,実際に読んでみると「まだ終わらんよ」(クワトロ大尉)って感じ。 つか,最初の数ページを読んだ時点で「しまった。私は想定読者じゃないや」って思ってしまった。 でも,さらに読み進めていくと「へぇこんな雑誌もあるのか」って感じで結構楽しく読めた。 この本自体が「雑誌を紹介するカタログ雑誌」のような構成になっているのだろう。

私が「想定読者じゃない」と思ったのは,私が(少なくともこの本の中で紹介されている)雑誌をほとんど読んだことないからだ。 でも『ユリイカ』は(特集が面白そうだったので)2回ほど買ったことがあるか。 近所の大型書店で買ったのだが,どの棚にあるのか分からなくて(雑誌コーナーになかったのだ)往生した憶えがある。 そういや総合週刊誌は子供の頃に父親がよく買ってたが,私自身は巻頭のグラビアヌード以外に興味はわかなかった(いろんな記事が載ってる新聞のほうが面白いと思ってた)。

小学生の時に読んでた雑誌は『科学』と『学習』。 不毛な中学生時代はスルーして,高校生の時は『ニュートン』と『リーダーズ・ダイジェスト日本語版』を読んでたな。 大学時代は専攻そっちのけで天文関係の雑誌ばかり読んでた。 社会人になって今の業界に入ってからは仕事関係の雑誌を主に読んでいる。 今でも『日経エレクトロニクス』は個人で定期購読してるし,『日経サイエンス』も面白そうな記事があるときなど時々買っている。 『星ナビ』も稀に読む。

(そういやこの本で『天文ガイド』がちょびっとだけ紹介されていて驚いた。 天ガは高校生の頃はよく読んでいたが,大学に入って天文研で恵まれた環境で活動するようになってからは読まなくなった。 『星の手帖』とか好きだったんだけど,バブル崩壊にともなって休刊してしまったなぁ。 それからは天文雑誌はあまり読まなくなってしまった。 情報を摂取するだけならネットの方が早くて深い)

Web 自体が雑誌化しているとも言える。 特に Tumblr の Dashboard は上手くチューニングすれば本当に雑誌のごとく読める(まぁ Tumblr の評価については人によって大きく違うようだが)。

そもそも本屋に行かなくなったもんな。 今の本屋って売れ筋の本ばかり置いてあってちっとも面白くない。 昔は本屋ごとにラインナップに特色があって本屋を巡るのが楽しかったものである。 理系の専門書が充実してるとか,洋書がいっぱいあるとか,よく分からん言語の辞書が揃ってるとか,マイナーな漫画やニコリのパズル本(当時は取り扱ってる本屋が少なかった)が置いてあるとか,地図だらけの店とか(これは今も広島にある)。 そういう特色のある本屋はバブル崩壊後に次々と閉めてしまった。

加えて今ではネット上で本を「発見」することが多い。 ブログの読書録とかソーシャルメディア上で紹介されてたり。 昔「本屋巡り」で見つけてた本は今ではネットで見つかるのだ。 そして Amazon の購入ボタンをポチッと押すわけだ。 その一連の行動の中で雑誌が目に入ってくることはない。 で,たまに必要があって本屋で本や雑誌を探そうとすると,どの棚にあるのか分からなくてヘトヘトに疲れてしまう。 そして更に本屋に足が向かなくなる,と。

学生の時,ある教官に「情報浴」について教えてもらった。 ある分野にいる人はその分野について常に情報を浴びている状態じゃないとダメだというのだ。 実際そのとおりだと思う。 昔は雑誌がその役目を果たしていたが,今やその役目はネットに移行していると思う。 ここでも雑誌の存在理由が問われている気がする。

『再起動せよと雑誌はいう』を読んでいくつか気になる雑誌はあったが(『AXIS』とか)お金出して買うかどうかは微妙。 つか近所の本屋に置いてあるのだろうか。 広島は文化過疎地なので不安である。

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再起動せよと雑誌はいう
仲俣暁生
京阪神Lマガジン 2011-11-25
評価

ラーメンと愛国 (講談社現代新書) WIRED (ワイアード) VOL.2 (GQ JAPAN2011年12月号増刊) 人間はガジェットではない (ハヤカワ新書juice) ものすごくうるさくて、ありえないほど近い 地球の論点 ―― 現実的な環境主義者のマニフェスト

by G-Tools , 2011/11/28