「25年もかけて育てた葛西臨海公園の自然を、オリンピックのために壊さないで!」キャンペーン

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このブログで私が署名した Change.org キャンペーンを紹介していこうと随分前に思ったのだが,なかなか機会がなかった(「はだしのゲン」のキャンペーンはもたもたしてるうちに成功裡に終わってしまった)。 今回久しぶりにその機会を得たので紹介してみようと思う。

キャンペーン内容はこうだ。

「江戸川区にある葛西臨海公園は、東京都が世界に誇る都市の中の自然公園です。公園の池や草むらや松林には、野鳥226種、昆虫140種、クモ80種、樹木91種、野草132種、絶滅危惧種に指定されているクロツラヘラサギもいます。多くの家族が憩い、自然とふれあい、サイクリングや散歩道を楽しみ、大都会の疲れを癒しています。
しかしその素晴らしい環境が壊されようとしています。オリンピックのカヌー競技場の建設が、葛西臨海公園に指定されているからです。
葛西臨海公園は埋め立て地を造成して24年かけて生態系が形成されました。一度壊した自然を東京は完全とまでは言わないまでも復活させました。こんな素晴らしい大都会の癒しの場を壊したくないのです。
(中略)
私はオリンピックには反対していません。でも、このカヌー競技場の提案に関しては、きっともっと良い進め方があると思います。」
(「25年もかけて育てた葛西臨海公園の自然を、オリンピックのために壊さないで!」より)

私は東京在住者ではない。 オリンピックにも興味が無い。 そういう人間がこのキャンペーンに賛同するのは躊躇いもあったが,思い切って署名することにした。

最初に私のオリンピックに関する基本的な考えを述べておくと,「日本にオリンピックは不要」である。

(オリンピックが日本に経済効果をもたらすというのは(瞬間風速としてはともかく長期的には)競馬の予想屋並みの眉唾な話である(まぁ経済アナリストというのは大体において競馬の予想屋と同レベルだが)。 金とコンクリートをぶち込めば景気が良くなるなどというのは昭和時代の日本昔話である。 よしんばその経済効果が本当にあるとしても,それを享受すべきは日本ではない。 そういうのは新興国に優先的に回すべきだ。 日本のように産業的にも文化的にも黄昏時に入った国がやることではない。
あと,原発事故問題はオリンピックに関係なくちゃんとやってね。 原発事故とそれに伴う環境汚染が7年やそこらで解決するなどとは,さすがに私の湿った脳みそでもありえないと分かっている。 福島原発事故は日本のエネルギー政策にとって,ずうっと先の将来にわたって,重い足枷となるだろう。 それでも前に進まなければならない。 まずは Nature 誌の社説を真摯に受け止め行動することを強く希望する)

しかし決まってしまったのならしょうがない。 いまさら反故にはできないのだからやるしかない。 でも,東京は無人の荒野ではない。 多くの(そして多様な)人が住んでいる都市だ。 今までもこれからも,そしてオリンピック以後もそこに人が住み続ける。 オリンピックに向けた都市開発は少なからず環境負荷になる。 そのリスクをどのように調整していくかが重要なのだ。

そもそもが,中国のような環境汚染バリバリの国でもオリンピックができるのである。 IOC にとって環境問題は大した要件ではないのではないかと想像する(だからこそ原発汚染で世界的にも注目されている日本で開催ができたのだろう)。 しかし,そこに住んでいる人はそうはいかない。 なぜなら,オリンピックが終わった後も人々はそこに住んでいくのだから。

これからこういったことが増えていくと予想される。 オリンピックの大義のためにすべてを排除するというのは間違っている。 ゆえに都や国やオリンピックに群がるゴロツキどもに対して市民による監視が必要なのである。 そういう思いで(東京から遠く離れた地から)今回は署名してみた。

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リスクと向きあう 福島原発事故以後
中西 準子 河野 博子
中央公論新社 2012-11-22
評価

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by G-Tools , 2013/09/14